皆様、お疲れ様です。
最近は大手バーチャルYouTuberグループであるホロライブとのコラボが行われましたが、皆様お楽しみいただいたでしょうか。
各メンバーの楽曲は大手のアーティストが書き下ろしているだけあってクオリティが高く、譜面も親しみやすい難易度で取り組みやすいうえに、ぷちキャラも用意されており、最近のコラボの中ではかなり力が入っていましたね。
その中の一曲「六本の薔薇と采の歌」はすでに多くのプレイヤーが遊んだことかと思われます。ホロライブの楽曲でありながらナムコオリジナルに収録されているこの曲。実はsteμさんによる新規書き下ろしです。
この曲が収録された経緯、曲に込められた小ネタや思いなど、皆様はご存じでしょうか。 私もホロライブについては初心者ですが、いくつか分かったことがあったのでまとめていきたいと思います。
このブログでsteμ氏関連の記事を書きすぎて、「またか」と思われるかもしれませんが今回も語らせていただきたく思います。
このブログの内容は公式的に発言された内容では無いので、あくまで私自身の個人的な解釈であることにご了承ください。 正直「こじつけだろ!」と言われても仕方のないような内容も、もしかしたら意識しているかもしれないという無敵論法でまとめております。気に入らない点はスルーしてください。
目次
収録に至るまでの経緯を振り返る
まずはなぜホロライブコラボ、ひいてはメンバー歌唱のナムコオリジナル楽曲が収録されることになったのか、簡単にその経緯を確認していきましょう。簡単にと言いつつ割と長いです。
もう知っているよ!という方は目次から次の項目へ移動してください。
ことの発端は2022年5月8日に行われたホロライブの公式ゲーム大会、通称ホロGGW(ホロライブ・ゴールデンゲームウィーク)です。
この大会では、総勢24人のホロライブ所属メンバー*1日本勢が6人4チームに分かれ、リズムゲーム部門、スポーツゲーム部門で3人ずつの代表者を決めて戦いました。
リズムゲーム部門に選ばれたのが、バンダイナムコエンターテインメント様提供の「太鼓の達人 Nintendo Switchば~じょん!」
スポーツゲーム部門に選ばれたのがコーエーテクモゲームス様提供の「つっぱり大相撲」です。
大会のルールを説明します。 太鼓の達人部門は課題曲として
の3曲を1人1曲ずつ演奏し、3人の合計点数をチームで競い、1位から順に15pt、10pt、7pt、5ptが入ります。
ルール発表の時点では10pt、7pt、5pt、3ptでしたが、1週間の練習期間の結果、フルコンボは当然の上で、どれだけ可を減らせるか、どれだけ連打を入れられるかというレベルまで各メンバーの実力が跳ね上がったことを受けて、僅差の試合となると予想され点数が上方修正されました*2。
続いてつっぱり大相撲のルールです。
つっぱり大相撲部門では3人が先鋒・次鋒・大将にポジションを分け、各チームの同ポジション同士が戦います。先鋒が勝っても勝ち抜きで次鋒とも戦うわけではありません。
力士の残機は5人で、先に相手の5人を倒しきった方が勝ちとなります。先鋒・次鋒戦では勝利すると2ポイント、大将戦では3ポイントを獲得できます。
技はつきだしやおしだしなどの相撲技からすうぷれっくすやぶれえんばすたあといったプロレス技、さらにこのゲーム最大の見所とも言える、相手の廻しをもぎ取るもろだしがあり*3、頭がピンクな人が多いことで有名なホロライブの参加者は隙あらばもろだしを狙って奮闘しました。ようは太鼓でフルコンを狙って相撲でフルチンを狙うってことですね。もうやだこのアイドルグループ
4チームの総当たり戦なので、合計6戦の長丁場となりました。
そして、この2つのゲームでの獲得ポイントの合計で順位が決まり、大会で優勝するとスイッチのゲーム1本と太鼓の達人オリジナルジャケット*4、譜面タオル、そしてナムコオリジナル新曲の歌唱権利、あと別にいらないけどホロライブなどのプロダクションを運営している企業、カバー株式会社の社長でありホロライブ1番のアイドルでもある谷郷元昭さんを模したゴールデンYAGOO*5トロフィー素材(.jpeg)が景品で送られます。
4月29日にはメンバー大抽選会が行われ、上記のルール説明と共に、今回のゲーム大会でリーダーを務めることになったアキ・ローゼンタールさん、大空スバルさん、常闇トワさん、鷹嶺ルイさんの4名が他のメンバーが伏せられたカードの番号を選ぶことで抽選を行いました。
各チームのメンバー・チーム名*6・担当は以下の通りです。
戦績は以下の通りです。 まずは太鼓部門から。
先陣を切ったアキロゼチームの夏色まつりさんがもじぴったんメドレーで初手可3フルコンボを出し、太鼓部門の点数基準となるチームとして高い壁を築きました。
全チームが緊張により精度が普段より崩れつつも名探偵コナンメインテーマをフルコンボする快挙を遂げる中、自己ベストではフルコンボしていたアキ・ローゼンタールさん、星街すいせいさん、夜空メルさんが本番のさいたま2000で続けて不可を出し(それでも不可の数は最大3。)、緊張で太鼓の魔物*7に食われてしまいます。
そんな中鷹嶺ルイチームは、風真いろはさんがもじぴったんメドレーを本番の緊張の中で全良を達成。続く不知火フレアさんも名探偵コナンメインテーマをフルコンボし全体で2位の成績。*8さらに桃鈴ねねさんが本番で唯一のさいたま2000のフルコンボを達成し、鷹嶺ルイチームが1位通過を果たしました。
続いて相撲部門です。
横の合計がチームの合計点数です。
アキロゼチームは大将戦をさくらみこさんが全勝、特にチームスターアニマルの大空スバルさんとの対戦では全試合唯一のもろだしを炸裂させました。
ルイチームは大将の鷹嶺ルイさんは惜しくも敗北してしまったものの白銀ノエルさん、宝鐘マリンさんが全試合全勝で点数を稼ぎ、逃げ切りの形で総合優勝を果たしました。
こうして勝利した鷹嶺ルイチームが優勝商品とナムコオリジナル楽曲の歌唱権利を獲得し、steμさんが大会本番の様子を受けて楽曲「六本の薔薇と采の歌」を完成させたということです。 この楽曲がACに収録されると同時に、ホロライブコラボとして優勝したルイチームこと薔薇☆Diceのメンバーの個人楽曲の収録も決定しました。
結構長くなってしまいましたが、これだけ説明した方が後々楽なのです。
六本の薔薇と采の歌のこだわり ~曲名・ユニット名編~
ようやくですが本編に入ります。
まずはユニット名に触れていきましょう。
薔薇☆Diceという名前はホロGGW当日の優勝が確定した後、「ユニット名を決めておいて」と言われた際にチーム内で話し合って生まれました。
元々鷹嶺ルイを中心としたパラダイスということで「ルイパラダイス(ルイパラ)」と名乗っていましたが、もっとカッコいいのが良いとのことで、
- パラダイスの「パラ」を薔薇にしよう by.桃鈴ねね
- ☆を付けたい by.桃鈴ねね
- ダイスをDiceにしよう、Dだけ大文字な by.宝鐘マリン
- ロゴはサイコロの1の目が薔薇になってたりして by.宝鐘マリン
...などなど、終了時刻が夜の0時だったためほぼほぼ深夜テンションで決まったようです。 全部本当に反映されてますねw
さらに宝鐘マリンさんの勢いでチームの挨拶が「それでは皆さん、す薔薇しい...」になってしまいました。 こちらも裏譜面のフルコンボ称号「す薔薇しいドンだー」に反映されています。
これを受けての曲名が六本の薔薇と采の歌です。 薔薇とダイスを単純に曲名に折り込んだだけに見えますが、色々と工夫が感じられます。
まず采(さい)ですが、こちらはさいころを表す漢字です。
さいころを表す漢字としては「賽」の方が一般的ですが、「采」とすることでさいころ以外にも「選び取る」「いろどり」という意味を持たせることができます。
選び取るという意味は、ランダムな数字を選びチームを決めたという状況にまさに合致します。
続いて六本の薔薇についてです。「薔薇と采の歌」では無く「六本の」と付け足すことで、六人全員の活躍を強調しているのではないかと考えます。
また、さいころは六面体であるため、六本の薔薇とすることでバラとさいころを繋ぐ共通項を作り、曲名に統一感を出すことができます。
六本の薔薇と采の歌のこだわり ~譜面編~
作曲者であるsteμさんが譜面も担当したという前提で話を進めていきたいと思います。
まず難易度のかんたん☆2、ふつう☆2、むずかしい☆3、おに☆6ですが、かんたん~むずかしいの星の数が相撲の先鋒~大将の勝ち点と一致しています。 おにの☆6は曲名由来でしょう。
おにコースのコンボ数は508コンボですが、これは大会が開催された日付である5月8日に因んでいます。
さらに譜面について、主におに(裏)コースを、必要なタイミングで別コースも並行して解説していきたいと思います。
開幕は低速から始まります。全良狙いの際は初っ端からきつい配置ですが、2小節目には青天の黎明、チキンレース(裏)のように連打でドン音符を隠すギミックが存在します。
ここの部分ではさいころを振る音が聴こえることから、さいころの出目は転がり終わるギリギリまで分からないことを音符を隠すギミックで再現していると考えられます。
このドン音符にはHS0.58*10が掛かっていますが、この数字もまた5月8日に因んでいます。
さらに1小節目の最初の4打を除いた部分の配色と2小節目の配色に注目すると、配色は共通で配置が異なる、いわゆるゲーム的配置*11が使われていることが分かります。 7小節目と8小節目、11小節目と12小節目にも見られますね。
分岐後の縁大音符のソフランですが、それぞれの分岐で異なるハイスピードが掛けられています。
普通譜面のHS1.4は、チーム決めの大抽選会における、桃鈴ねねさんのカードの番号である14番と一致しています。
練習ではさいたま2000の難易度に苦戦し一度は諦めかけましたが、本番では唯一フルコンボを達成することができ、チームの勝利に大きく貢献した彼女の活躍をsteμさんはかなり大切にしており、この後もいくつか桃鈴ねねさんの活躍が反映された要素が登場します。
右下の髪型が鷹っぽいお姉さんが鷹嶺ルイさん、その右のカードに書かれている女の子が桃鈴ねねさんです。 他のメンバーは興味があったらご自身で調べてください。
玄人譜面のHS2.05は、太鼓部門のルイチームの合計点数205万点です。
達人譜面のHS2.7ですが、これはルイチームの太鼓と相撲を合わせた総合点数27点から来ています。
最後の高速16分4打に掛かっているソフランもすべて同じ数字です。
この後しばらくは凝ったギミックが登場するわけではありませんが、取る音がドラム、カスタネット、三味線、ボーカルなど点々と移動しています。
作曲者のsteμ氏が作譜をしているのであれば、「曲中の音でどれを引き立たせたいか」を一番理解しているはずなので、このように取る音が散らばっていても叩いていて気持ちいい譜面が成立しているのも納得できます。
この譜面の有名な特徴といえば、やはりサビの後の引用地帯でしょう。むずかしい~おに(裏)について、サビ後のソロ地帯で引用があります。
80-81小節目は風真いろはさんの歌うパートですが、彼女が本番で演奏したもじぴったんメドレーのふつうとおにの譜面が引用されています。
普通譜面のみ、41小節の3拍目で引用が打ち切られています。
続いて82-83小節です。不知火フレアさんが歌うパートですが、こちらも彼女が演奏した名探偵コナンメインテーマが引用されています。
84-86小節は桃鈴ねねさんのソロ、87-88小節は薔薇☆Diceの太鼓組で歌いますが、ここはすべてさいたま2000の引用になっています。
むずかしい・おに譜面はもじぴったんふつう→名探偵コナンむずかしい→さいたま2000むずかしいと、大会で演奏した難易度と引用譜面の難易度が一致しています。
またおに譜面のさいたま2000引用の最後には21打の風船がありますが、これは大会本番で桃鈴ねねさんが出した連打数と一致しています。
その後の相撲組の譜面は引用では無いですが、88小節と90小節、89小節と91小節が音符を1つずつ増やした形となっており、鷹嶺ルイさんソロの「高める意味は光采となって」で密度も高めて譜面を盛り上がらせています。
94小節ではここまでの偶数打主体から奇数打主体に切り替えることで、ラスサビの16分奇数打主体の高密度と綺麗に繋がるようになっています。
ラスサビの達人譜面は完全に憶測になりますが、16分のドコドンを主体とする小節とドカドンを主体とする小節が交互にくる譜面傾向が若干Black Rose Apostleに近い印象を受けました。
曲名が「六本の薔薇と采の歌」であるため、薔薇シリーズの譜面を引用したり、SUPERNOVA(裏)のように譜面を寄せたりする可能性は無くはありません。
ただし、薔薇とサイコロ、そして薔薇シリーズをかけ合わせるとしたら、Red Rose Evangelの譜面引用が欲しいと思いました。 というのも、サイコロは赤の1の目と黒の2~6の目が打たれたものが主にイメージされるからです。
薔薇☆Diceのロゴも1の目が赤いバラで出来ているため、やはり赤薔薇の引用が欲しいです。しかし、それらしいパートは見つけられませんでした。そのため残念ながら僕の予想は間違っているでしょう。じゃあ書くなよ
112-113小節と114-115小節はあべこべの配置になっている他、完全にドンとカツの交互で叩けるようになっています。
あべこべの配置はsteμさんの譜面の癖としてよく現れると、steμさんの担当した譜面に関する記事で紹介しましたが、ここにも見られますね。
116-117小節の複合は規則性が分かりにくいですが、カカド×2→カドド×2→ドドド×2の間に縁を挟んだ形となっています。
裏達人のコンボ数1177は、一応エンジェルナンバーとして「前向きに努力を続ければ、幸運が訪れるだろう」という意味があり、大会と少し関連するようにも見えますが、エンジェルナンバーを持ち出すといよいよ何でもありになってこじつけが苦しいので、あまり深く触れないでおきます。
小ネタになりますが、譜面分岐の箇所について、2か所サビやメロディの切り替わりというわけでもない謎のタイミングで分岐判定が行われています。
この2か所は歌詞で言うと「春の采」「夏の始まりに向かって」の部分で行われています。季節が進んだタイミングで分岐が行われているということです。この部分で譜面を上のレベルに上げるとちょっと現実とリンクした気分になれます。
譜面については以上です。
六本の薔薇と采の歌のこだわり ~曲調、歌詞編~
最後に、楽曲について触れていきましょう。
この曲は太鼓の達人の公式YouTubeチャンネルにてフルバージョンのMVが公開されており、今回の解説ではこのフルバージョン分の説明をしていきます。
楽曲についてはこちらをどうぞ。
ここまで読んできた皆さんならお察しの通り、この数字はルイチームが太鼓の達人部門で記録した合計点数205万点からです。
次は曲調について触れていきましょう。steμさんは以前のインタビューで「太鼓の達人を通じて様々なジャンルの曲を体験してもらいたい」といった旨の発言をしていましたが、この曲も様々な要素を包含しており、和×ロック×フラメンコとなっています。
それぞれの要素としては
和*13
- 琴
- 三味線
- 尺八
- 篠笛
- 和太鼓
ロック
フラメンコ
といった具合です。
和ロックは太鼓の達人の和要素とアイドルソングの疾走感を兼ね備えており、コラボとして書き下ろされた楽曲のジャンルとして最適と言えるでしょう。
ではフラメンコの要素はどこから来たのでしょうか。
私はフラメンコには「薔薇を口に咥えている」イメージが広がっていることから*14、六薔薇にもフラメンコの要素を折り込んだのだと考えます。
ここからはようやく歌詞について、自分の考察とともに説明していきます。
さっそく話していきたいところですが、説明がしやすくなるのでまずは曲の最後にある番号コールパートを紹介させていただきたいと思います。
(鷹嶺ルイ) 番号!
(風真いろは) 壱!
(不知火フレア) 弐!
(桃鈴ねね) 参!
(白銀ノエル) 肆!
(宝鐘マリン) 伍!
(鷹嶺ルイ) 陸! 全員~~?
(全員で) 薔薇☆Dice!!!!!!
アイドルグループだとよくある自分の番号をコールするやつですね。この番号が後で解説の役に立ちます。 その時になったら説明するので覚えておかなくて大丈夫です。
「全員~~?薔薇☆Dice!!!」の流れはホロGGW当日の優勝コメントであった
(鷹嶺ルイ) 優勝?
(メンバー5人) ありがと~!!
(鷹嶺ルイ) 焼肉?
(メンバー5人) 行くぞ~!!
(鷹嶺ルイ) 全員?
(メンバー5人) 巨乳~!!
を彷彿とさせます。
...いやふざけてるわけでは無いですよ?本当にこういう優勝コメントだったんです!信じてください!
番号の説明も済み、こういう優勝コメントだったと信じてもらったところで、曲の初めから、歌唱分けと共に歌詞を見ていきましょう。
(全員) あなたとの あらゆる瞬間が
楽園のものとなるように
楽園というワードは薔薇☆Diceの語源であるパラダイスから。
(ノエル、マリン、ルイ) 私達が巡り逢った 春の采
それは未知の冒険への振り出し
(いろは、フレア、ねね) みんな別の芽を持つ6人の運命
一体となって転がり始めた日
ここはつっぱり大相撲組→太鼓の達人組という歌い分けになっています。
「春の采」は、4月に行われたメンバー大抽選会のことです。 ここでも「さい」の字を采としたことが活きています。 また大会本番とかけて同音異義語の「祭」もかかっているかもしれません。
「振り出し」「転がる」はサイコロやすごろくをイメージさせるほか、「芽」は薔薇の芽とサイコロの目のダブルミーニングであると容易に想像できます。
(いろは) 独り自分を見つめる度
どこかでは
憂いていた己の弱さに出会い
(ルイ) 醒める度に向かい合えた
あなた達だけは
分かっていた私の強さに出会う
ここからソロパートに入りますが、先陣を切るのはルイチームで最初に大会本番に参加した風真いろはさんです。
「独り」は憂いていた「己の弱さ」と出会い、「あなた達」は最初から信じていた「私の強さ」に出会う。上手く対比され、絆を感じる歌詞となっていますね。
対比側の歌詞を歌うのは鷹嶺ルイさんとなっていますが、ここで先ほど触れた番号を思い出します。 いろはさんが1で、ルイさんが6でした。これをサイコロに見立てるとちょうど向かい合う位置関係になります。歌詞だけでなくサイコロでも向かい合っているということですね。
(ノエル) 朝を越えて 迎える夜に
(フレア) 夜を越えて 迎える朝に
(マリン) 聴いていたのは 薔薇の葉の言葉
(ねね) 青春を越える 夏の始まりに向かって
Bメロに入ります。
「薔薇の葉の言葉」ですが、薔薇には葉っぱにも花言葉があり、その花言葉は「諦めないで」「希望はある」となっています。 まるで大会当日に近づくにつれ大きくなる不安への励ましの言葉のようです。
青春というワードについて、「このゲーム大会を通して優勝を目指して協力・奮闘した日々はまさに青春だった」と、優勝したルイチームに限らず多くのチームが話していたのが印象に残っています。
またこのパートでは時間の流れを感じることができます。
朝を越えて夜を迎え、夜を越えて朝を迎える。同じ内容を繰り返すことで日々を重ねていることを印象的に伝えていると考えられます。
日々を重ね、「別の芽を持つ6人」は成長し、薔薇が「葉」を付けたという流れを感じることができるのです。
「青春を越える」という表現は馴染みが無いですが、ここまでのパートで「越える」という言葉が時間の経過を示していると印象付けることで、「春を越える」→「夏の始まり」という時間経過を表していると自然に理解することができます。
さらに、薔薇の開花時期は5月~6月にかけてと、まさに初夏であり、ホロGGW本戦開催時期とも噛み合います。
(全員) 勇気を持って 挑み続けて 辿り着かせた
朋の情熱と 共鳴をしての開花
1回目のサビの歌詞です。
挑戦を諦めなかったことで実力を伸ばし優勝を勝ち取ったルイチームへのsteμさんからの称賛のような歌詞となっています。
また、Bメロで葉付いた薔薇はついに開花しました。
ここからのソロは、それぞれのメンバーのキャラクターを示すような歌詞となっています。 タイコロールの色バージョンを振り返る部分のような感じでしょうか。
歌唱順は太鼓組→相撲組で大会に参加した順番です。 多くの要素を兼ねた歌詞であるので、丁寧に拾っていきたいと思います。
それは一文字の風になって
風真いろはさんが歌います。
いろはさんの大会本番でのもじぴったんメドレーの全良はチームに完全に流れを作りました。 大会中のコメントでも「風真が追い風を吹かせてくれた」と宝鐘マリンさんなどの発言がありました。
また「風」と「風真」、「文字」と「もじぴったん」が掛かっていると考えられるほか、「一文字」は良という1文字だけのリザルト、大会本番で連打1打増やしての自己ベスト更新といった結果を受けていそうです。
迷いを晴らす燈火となって
不知火フレアさんが歌います。
ルイチームが結成して分担に悩んでいた時に、真っ先に「私がコナンをやる」と名乗り出て、分担をスムーズに決めるきっかけとなってくれたのが、不知火フレアさんでした。
また桃鈴ねねさんが練習を重ねてもなかなかさいたま2000をフルコンボすることができず、他の人がやった方が良いんじゃないのかと悩んでいた時に「ねねちにプレイしてほしい」と背中を押してくれたのもフレアさんでした。 そんな彼女はまさにチームにとって「迷いを晴らす燈火」と言えるでしょう。 また、名探偵も人々の悩みを解決する存在です。
太鼓の達人と絡めるのであれば、燈火がゴーゴータイムに判定枠に灯る炎を意識していると考えるのも面白いです。
また、燈火が夜間に光の異常屈折現象によって点々と見える現象を不知火と言います。
オレンジに照らす鼓舞曲となって
桃鈴ねねさんが歌います。
本番直前までさいたま2000に苦戦し続けた桃鈴ねねさんでしたが、本番では見事に唯一のフルコンボを達成し、チームを鼓舞してくれました。
「オレンジに照らす」というのは、桃鈴ねねさんが「ホロライブ5期生オレンジ担当」であることを受けての歌詞でしょう。ねねねねねねねね!大爆走でもそんな歌詞がありました。
この歌詞が画面がオレンジに光るゴーゴータイムのことも意識していると考えても面白いです。
轟いた2000秒
ここは3人で歌います。 2000秒というのはさいたま2000を意識しての歌詞です。
「2000秒」のあたりで後ろでうっすらと「脳内カーニバルだど~~~ん!!!」と言っているのが聴こえます。
2000秒というのが太鼓組が大会中に登場した時間という説も見かけましたが、自分で計測してみたところ大体1700秒くらいでした。許容範囲でしょうか。
この説を信用するならば、この歌詞は3人の活躍を大会本番で存分に見せつけたという意味になりますね。 なんかいい感じなので採用しましょう。(おい)
その魂を護る騎士となって
白銀ノエルさんが歌います。
ノエルさんは白銀聖騎士団の団長、ゆるふわ脳筋女騎士として有名です。
今回は相撲で全勝して、魂では無くチームの勝利を護ってくれました。
千の海を臨める舵となって
宝鐘マリンさんが歌います。
マリンさんは宝鐘海賊団の船長......になって宝を探すのが夢である、今はただの海賊コスプレ女ですが、ちゃんと海賊として扱ってもらえているようですね。
舵は船の進行方向を決める道具ですが、チーム内では主に会話の進行方向を決めてくれました。(いい方向とは言ってない)
高める意味は光采となって
鷹嶺ルイさんが歌います。「高める意味」と「たかねるい」で韻を踏んでいます*15。
ホロライブ6期生と、最も歴が浅い中リーダーを務めた彼女でしたが、彼女の努力無くしてはチームメンバーの熱意を高めることは出来なかっただろうとマリンさんが語っていました。
ここでも「采」の字が使われています。「采」の字の意味としていろどりを上げたのはこのためです。
星々点るその場所で
ここは3人で歌います。 「星々点るその場所」は白星や黒星を決める相撲の本場所のことを指していると考えられます。
遊戯を以って 光を浴びて 互い繋いだ
各の情熱の 結実としての凱歌
2度目のサビです。 「勇気を持って」と「遊戯を以って」、「開花」と「凱歌」で韻を踏んでいます。 ゲーム大会を「遊戯」、優勝記念楽曲を勝利を祝う喜びの歌である「凱歌」と綺麗に言い換えています。これは拍手喝采ですね。采だけに。
(フレア、マリン、ルイ) これからも支え合えるように
(いろは、ねね、ノエル) 明日にも向かい合えるように
(全員) あなたとの あらゆる瞬間が
楽園のものとなるように
願った花の歌
ここの歌詞分けは何か意味があるのかまだ分かっていません。分かったら追記します。
ここからはゲームでは遊べない部分ですね。ここからも非常に良いのでぜひフルバージョンを聴いてください。
(いろは) 手放しの運命はいつも 思い通り転がらない
(マリン) 笑えなくなる日がいつか 待っているかもしれない
(フレア) だからこそ私たちは みんなを見失わない
(ルイ) 例えば 奇跡のような幸運が不意に訪れても
(ねね) 運んでくれた何かがきっと そこにはあるはずなんだ
(ノエル) だから 一人一人違った思いを 持ち寄っては
(全員) その正しさを 共に分かち合いたいと思うんだよ
低音が魅力的なパートです。
いろはさんが歌うパートは「手放し」「転がる」など、またサイコロを連想するワードが盛り込まれています。
譜面編にて「こじつけが苦しい」と言って軽く触れただけだったエンジェルナンバーですが、考察の不確実性が増すならそもそも言わなくて良くね?と思った方もいるかもしれません。
しかしここのルイさんとねねさんのパートを見ると、どうもエンジェルナンバー1177の「前向きに努力を続ければ、いずれ幸運が訪れる」と一致しているように思えて来てしまったので言及させていただきました。 まあそもそも無敵論法で書いてるんだけどな!
前の人の歌詞を受けて「だから」と続けるマリン→フレア、ねね→ノエルの歌唱順ですが、ここも彼女たちに与えられた番号を思い出すとマリン(5)→フレア(2)、ねね(3)→ノエル(4)と、サイコロで向かい合う位置となっています。
(フレア、ノエル、マリン) それぞれ違った心で 同じ期待を解り合い綴る
(ねね、ルイ、いろは) それぞれ誓った所へ 同じ時代を語り合い進む
ここの分担は前半の3人がホロライブ3期生3人*16、後半が5期生+6期生*17となっています。
「それぞれ違った心で」という歌詞は、ホロライブ好きならピンとくるかもしれませんが、ホロライブ初の公式楽曲であるShiny Smily Storyのすべてのサビに登場する歌詞です。
↓Shiny Smily Story
「同じ期待を解り合い綴る」の部分はShiny Smily Storyのサビの「同じ未来を見ていたい」の部分と近い音程が使われています。 すると「同じ期待を」と「同じ未来を」で韻を踏むという曲を跨いでの韻踏みが行われている可能性もあるということです。すげ~。
5期生+6期生パートですが、母音が全て3期生側と一致しています。 青天の黎明といい、steμさんは韻を踏むのがめちゃくちゃ上手いです。
(三期生) それが六本の薔薇の言葉
(六期生) それが未知の冒険の理由
(ねね) 奇跡を呼ぶんだ あなたと
薔薇という花には本数ごとにも花言葉が付いており、6本の薔薇の花言葉は「お互いに敬い、愛し、分かち合いましょう」です。そういえば、一つ前のパートでも6人全員の歌唱パートの歌詞に「共に分かち合いたいと思うんだよ」とありましたね。
ここでねねさんのみ再びソロが入りますが、これは桃鈴ねねさんの活躍が起こした奇跡、感動を強調するためでしょう。 大会を見てきた人なら文句なしの采配です。采だけに。
(全員)矜持を保って 希望を胸に 戦い抜いた
友の情熱の 代弁としての賛歌
ラスサビです。 矜持(きょうじ)ですが、「自分の能力を信じて抱く誇り」という意味があります。自分たちを信じて最後まで挑戦したからこその勝利ということですね。
また、すべてのサビの歌詞の青く塗った部分に注目してください。最初のサビでは単に同胞の集まりという意味の「朋」であったのが最後には「友」となっています。
薔薇の芽が葉を付け花を咲かす歌詞の流れがあったように、「各」が「共」に戦い「朋」から「友」になる過程も書いていたということです。
また情熱という単語が全てのサビに登場しますが、赤い薔薇の花言葉は情熱です。
(マリン、ねね) 転んでも 笑い合えるように
(いろは、ルイ) 涙にも 立ち向かえるように
(ノエル、フレア) みんなとの あらゆる瞬間が
(全員) 楽園そのものとなるように
素晴らしい未来になるように
誓った花の歌
ここはホロライブコラボで収録された日が同日の2人ずつで歌っています。そういう狙いで歌唱分けをしているかは分かりませんが。
前の同じメロディーのパートと比較すると、「明日にも」と「涙にも」で韻を踏んでいるほか、「あらゆる瞬間」を共有する相手が「あなた」から「みんな」に増え、「願う」から「誓う」と、意思がより強固なものになった印象を受けます。
最後には「素晴らしい未来」と、おそらく「す薔薇しい」を意識した歌詞が入ります。
これですべての歌詞を解説し終えました。
最後に曲のフル尺は5分8秒ですが、これも大会の開催日5月8日に合わせられていると考えられます。
steμさんはおそらく楽曲の制作が決まった時から、薔薇とサイコロから連想される内容をありったけ思い浮かべ、ホロGGW、メンバー、太鼓の達人、つっぱり大相撲と繋がるようにマインドマップを繋げていき、一曲に成立させきったのでしょう。破綻せずに完成させきったその手腕は見事という他ありません。
以上になります。譜面、歌詞、曲調の拘りや元ネタについて、自分が分かっていること、考察したことはこれですべて語り切れました。 考察するたびに新たな発見があり、再びsteμさんの凄さを思い知ることとなりました。
ホロライブについてはホロGGWで太鼓をやるということでようやく見始めましたが、しっかりハマってしまいました。自分の好きなゲームをプレイしている配信者の方がいたら、試しに見てみると楽しいかもしれません。VTuberに抵抗がある、という方もいるかもしれませんが、まあ基本的には普通の配信者と大差無いので、配信を見るのが好きであれば意外とその壁は薄いかもですよ。
ホロライブについてはまだまだ初心者なので内容に至らぬ点があるかもしれません。粗があったら申し訳ございません。
今回はこれで〆とさせていただきます。このブログはあくまで個人の妄想なので悪しからず。それでは、おつカレーライス!
画像
- 太鼓の達人 譜面とかWiki*
- ホロGGW大会本戦画像→【#ホロGGW】ホロライブ・ゴールデンゲームウィーク大会本戦! - YouTube
*1:いわゆるホロメン。
*2:ゲーム配信を主な活動としている影響でしょうか、この手のゲーム大会では高水準になりがちです。
*3:実際の相撲では廻しを故意に外そうとすると反則負けとなりますのでご注意を。
*4:このジャケット、世界に10着ほどしか出回っていない激レアアイテムです。そのためこれを身に付けている女性がいたらホロライブメンバーのリアルの姿である可能性が高いという、VTuberの特性上危険な代物となっており、一部では身バレジャケットなどと呼ばれています。
*5:谷郷元昭さんの正しい苗字の読みは「たにごう」だが、大空スバルさんが誤って「やごう」と読んだことから誕生した愛称。
*6:トワチームだけチーム名が無く準備不足のように感じるかもしれませんが、そもそもチーム名を前もって決めていたのはスターアニマルのみで、モロダシだドン!は当日エントリー時、薔薇☆Diceは優勝が決まってから作られたチーム名です。 前もってチーム名を決めておくものだとばかり思っていた大空スバルさんは、他チームと練習試合をした際に「スターアニマルです!」と名乗ってもポカンとされた、といった裏話も存在します。
*7:一応言っておくと立つドンは関係がないです。あくまで実況がそう言っていただけです。
*8:一位は常闇トワさん。
*9:しょうもないこだわりですが、左下に映っている実況担当の白上フブキさん、友人Aさん、春先のどかさんの全員を1回ずつ乗せるためにスクショのタイミングを調整しています
*10:HSとはハイ・スピードのこと。曲のBPMに対してHSの数字を掛けた速度で流れてくる。いわゆるソフラン
*11:ゲーム的配置について詳しく知りたい方は、こちらの公式記事をどうぞ→ https://taiko-ch.net/blog/?p=2072
*12:Beats Per Minuteの略。1分間に4分音符を何回刻む速度であるかを表す。ざっくり言うと曲のテンポを示す数字。
*13:それっぽい音の楽器を並べただけなので間違っている可能性があります
*14:実際のフラメンコでは薔薇を咥えることは無く、オペラのカルメンで舞台映えを意識してバラを咥えたところ、このイメージが広まったようです。
*15:韻を踏むとは、言葉の母音を合わせること。主にラップや歌詞でよく見られる。ここではどちらも「a-a-e-u-i」の韻踏みとなっている。
*16:ここに兎田ぺこらさんを足した4人でまとめてホロライブファンタジーと呼ぶ。3期以降同期でのユニットが存在するようになった。
*17:桃鈴ねねさんが5期生、風真いろはさんと鷹嶺ルイさんが6期生です。